SteppIR4Ele

                 SteppIRの4Eleを上げました
                                              2014.10.19
1.機種の選定
  取り付ける電柱は、約17m地上高で先端は1号のパンザーマストです。
  35年前に取り付けたHy-gain 204BA (14MHz Full size 4Ele)と交換です。
  載せるアンテナは、4Eleが限界だと思っています。山間の谷間であり台風の影響は少ないと思っている。
  SteppIRと横浜のKA1-404の各4Eleで、どちらにするか迷いました。2つの特徴は以下と思いました。
  (1) SteppIR 4Ele+7,10MHzのOption
     土佐さんのサポートが良いのは定評がある(実際に数回の質問、問い合わせをしたが迅速で丁寧)
     10年余り世界中で使われていて、大きな問題は出ていない。耐久性、電気特性等の問題がなさそう。
     7と10MHzがDipole、できれば2Eleが欲しい。
     14~28MHzはブーム長が長いためかKA1よりこちらが利得が大きい。
     Logger32のVSCを使えば、遠隔で監視制御ができる。←リモートシャックで使うために必須の機能。
     SDA100のコマンド、レスポンスが公開されているので、Logger32のVSC以外に自分でProgram開発も
     可能だ。時間が取れれば、VSCの簡易版を作っても良いなと思っています。
  (2) KA1-404
     実績が少ないので、サポートの良否、電気的特性と耐久性は不明。納期も不安。
     7と10MHzが2Eleで好ましいが7MHzは短縮型で、Coil切替に真空リレーを使っており信頼性が不安。
     遠隔で監視制御する機能がない。私の推測では、コントローラーに外部制御のInterfaceを実装して
     いない事からFirmのversion-upで外部からのPCアプリでの制御機能の追加は不可能だろう。
  
2.組立
  (1) 組立等に要した時間
    物品の確認:AM半日   組立:2.5日  パンザー取り付け:1日
  (2) 気がついた問題点等
    ドリブンエレメントを吊るトラストキット内のアングルのUボルト穴が全く合わないため追加で穴あけ。
    ブームを吊る黒いワイヤーの長さが足りない。片側を手持ちのステンレスワイヤーで代替。
    ネジ類の予備が全くないので、不安。土佐さんに少し追加で送っていただいた。
    コントロールケーブルが不安。ケーブルシースがグレー色で非常に薄い。接続BOX~各エレメント間は
    テープを巻いて機械的強度の補強と紫外線による劣化防止対策を行った。時間があれば屋外用の黒で
    もっとシースが厚い物に交換したかった。
    同梱のビニールテープの品質が良さそう。使った感じでは、長期間の屋外使用に耐えそうです。
    (施工時は、ブチルゴムの自己融着テープを巻いた上の補強に使いました)

3.マストへの取り付け
   床22mのバケット車(レンタル約4万円/日)で、取り付けた。 
   最初にエレメント外部のグラスポール以外を取り付け、その後に、空中でグラスポールを個別に取り付けた。
   約50Kgと重いので全てを地上で組んで持ち上げるのは無理と判断した。
   作業は、JA4DND、彼の知人(バケット車オペレータ)、私の3人で丸1日かかった。
   (1.8~1.9MHz、3.5~3.8MHzのSloperの設置と調整も含む)
     いざ、上空へ


 バケットのアームが伸びていきます


  グラスポールを除いて取り付け


   空中でグラスポールを1本づつ取り付け


      完成です


    北東以外は山なので飛びと耳はどうだろう??


3.動作確認
  地上で、土佐さんから指示があった各エレメントが正常に伸縮するか確認をしていたので問題なし。
  聞いてはいたが、チューニングすると14~28MHz帯はバンド内が全てSWR1.1以下。感激ーー!!
土佐さんから事前に連絡があったように、7MHzはSWR1.2、10MHzはSWRが1.4が最良点だった。
  SWRとビームパターン、利得は別物だが14MHz以上は反射電力がほとんどないのは気持ち良い(^o^)。
  SteppIRは全てのエレメントがブームから浮いているので心配したが、同時に取り付けたSloper2本
  (上のベアリング付近が給電点)もほぼ実用範囲に調整できた。
  SteppIRのエレメントを7MHzにすれば、キャパシティーハット効果も有効のようだ。
  Sloper1:1.80~1.91MHzでSWR2以内   Sloper2:3.5~3.8MHzでSWR2以内
  これで、取りあえず1.8MHz~54MHzまでのアンテナが整ったことになる。嬉しいねぇーーー。。

4.遠隔監視制御について
  検討段階で、前述のようにLogger32内のプロセスVSC(Virtual SteppIR Controller)を使えば、PCから
  コントローラーを直接操作するのとほとんど同様のことができる。
  JA1NLX/吉田さんのLogger32解説の中に詳しく説明されています。  JA1NLX/吉田さんの解説ページ


  Logger32を起動していない時でも周波数のTrackingができるようにオリジナルのコントロール・インタフェースも
  自作したので、リモートシャックでも問題ない。  接続は以下のようにした。
  トランシーバーTS-590Sの232C~自作コントローラー~CI-V変換をしてIC-PW1、アンテナ切替のANT-57、
  SteppIRのSDA100(TTL入力5,9番ピン)
  PCのUSBから232C変換してsteppIRのSDA100(DATAコネクタ)、Rotator制御のRTC-59
  これで、PCからRigコントロールとsteppIRの監視制御とLogging、Rotator監視制御、アンテナの自動切換、
  IC-PW1のバンドTrackingの全てが遠隔でコントロールできるようになった。
  RigコントロールはUSBでTS-590に接続して、HRDとKenwoodのARCP-590の併用で、気分で使い分けています。

5.SteppIRのコントローラーSDA100
  (1) 周波数トラッキングに使用するコマンド
     Kenwood,Elekraft,Yaesuは、IF; コマンドを使っています。
    Logging-program等が定期的にIF; コマンドをトランシーバーに送る場合は、RXD(2pin)とGND(5pin)
    だけの接続でSDA100が 周波数トラッキング動作をします。TTLで接続する場合は9と5ピン。
  (2) 設定可能なBaud Rate
    1200~5760bps、NP、Stop1or2bit
  (3) DSUB9のピンアサイン
    上側DSUB9:PINOUT of 9 pin SUBD DATA IN CONNECTOR
     1. Data out RXD      2. RXD to RS232 Radio TXD
     3. TXD to Radio RXD   4. TTL Kenwood and active high for Radio CTS
     5. Signal Ground     6.NC
     7. TTL version of pin 2 ←2番ピン入力をTTLに変換した出力
     8. NC  9. TTL RXD for Steppir
     CATにRS232CでRXDの接続をする場合は、2,3,5を接続するとともに7ー9ピン間を接続する。
     (RTS-CTSでのフロー制御は使っていないようですね)
     CAT情報をTTLレベルで接続する場合は、9と5に入力する(CI-Vと同様)。
    下側DSUB9:PINOUT of 9 pin SUB-D DATA OUT CONNECTOR
      1. + 5 VDC out 2. RXD(RS232c) 3. TXD(RS232c)
  4. NC     5. Signal Ground  6. NC  7. NC  8. NC  9. Radio TTL RXD
     Logger32(VSC)でコンロトールする場合は、232Cのリバースケーブルで接続する。
  (4) SDA100の電源ON/OFF
     AC100vの供給電源をOFFにするとキャリブレーションが必要なため、電源ON/OFFの手段として
     使えない。RTC-59の制御出力からフォトカップラーを介してON/OFF操作をしています。
     他の方法として、VSCでエレメントをHome-positionに戻すことで、電源OFFにできます。
     SDA100の供給電源は、UPS(APCのBR550G-JP)を使って無停電にしています。

5.運用開始後の状況
 (1) 風圧面積が増えたため1200FXのマストクランプの滑りで、風で勝手に回ってしまう!!
  心配したことが現実になりました。  使っている回転マストは、SteppIRのクロスマウントが50mmΦまでであり、
  以前から使っている約50mmΦの超鋼管をそのまま使った。
  ハイゲインの204BA(14MHz4Ele)との交換で同程度のブームとエレメント長 だから大丈夫だろうと
  思ったのが大間違い!!  結果は、60mmΦに全てを交換しておけば良かった。
  使っているRotatorはEmotoの1200FXだ。1200FXのマストクランプ#1217の把握力不足のため、風で
  勝手に回ってしまう。北方面に向けておくと西か東に勝手に回って落ち着く。東西が風圧面積最小なんだね。
  全てを60mmΦ対応にするには次の物の交換が必要だ。
  Rotatorのマストクランプ(1300用)、60mmΦの回転マスト、ベアリング2個、SteppIRのクロスマウント
  これでは、全てのやり直しになってしまう。バケット車レンタル等を含めると10万以上の出費になってしまう。
  エモトさんにTELで相談したら、把握力が数段上のマストクランプ#1220に交換する手段があるとの話。
  また、50mmのパイプにスペーサーも追加して径を60mm程度にしてみたら、との話。
  [2015.3.20] Emotoのマストクランプ#1220を購入して交換しました。一回り大きいです。
  [2015.4.21]1ヶ月経ちましたがスリップがなく正常に動作しています。価格は¥24,300、高いですね。
      スペーサーは追加していません。
 (2) エキサイター(TS-590)の出力を40W以上にするとリニアアンプ(IC-PW1)のプロテクターが動作
    現地に行ってみると、SWRが3程度になっている。SteppIRはTracking動作をしているが完全に
    ずれている。キャリブレート操作で正常に戻った。時々、キャリブレーションが必要なんですね。
    月に1回程度、キャリブレーションを遠隔で行うことにしました。